12月22日土曜日、しとしとの主催で初めて行うイベント
香美町でしとしとオフ会vol.1を開催しました!
ここで、まずこのオフ会を開催するに至った背景を少し。
しとしとを2018年の春にウェブメディアとして開設し、これまで4人の師匠にお話を伺い、記事として発信してきました。
そうして発信を行っていく中で記事を読んでくださった方から反応をいただけることも出てきました。これまで主に取材のフィールドにしてきた兵庫県香美町という場所へ行ってみたいと言ってくださる方がいることも知りました。
僕たちは記事を作る中で師匠がお話してくださった内容のすべてを文字に出来ているわけではない中でも、そのような反応をいただき、じゃあ直接師匠と読者の方が出会える場を作ってみようというのが、オフ会開催に至った背景です。
また、しとしとの価値観の一つに「顔の見える関係」というものがあります。しとしとを開設するにあたって、考えに考えて作った「しとしとについて」というページがサイト内にありますが、そこでも地域にある「顔の見える関係」を地域のらしさとして、価値として捉えて、そんな地域のらしさを自分らしく生きたい人との出会いで繋いでいくと宣言しています。
だったら、ちゃんと顔の見える関係までしとしととして関わりたい。そんな思いをこのオフ会という発想の根底にはあったように感じます。
と、前置きがとても長くなってしまいましたが、ここからは当日の様子をお伝えしていきます。
当日の朝7時、神戸から香美町へ向かうしとしと運営2人は朝7時に最寄り駅に集合。
いつも香美町へ取材へ行くときと同じ行程であり、見慣れた光景ですが、この日は少し違うところが。オフ会に参加者の一人(通称たまちゃん)も神戸から向かうため、いつもは2人の道中がこの日は3人に。
神戸から香美町までは鈍行で乗り継げば約5時間の道のり。
このたっぷりある時間の中で、色んな話をしました。しとしとを始めた経緯やそれぞれの価値観の話、お互いの大学に入るまでの話、学校について思うこと、色の話、くしゃみの話。
次から次へと話し続け、あっという間の5時間でした。
香美町に着くと、その日はいつもの香美町とは少し違う表情。
この時期にしてはあたたかくていい天気。前の週には雪も降っていたたので、雪に少し期待をしていたところもありましたが、歩いて移動する僕たちには絶好の天気でした。
しとしと運営の2人とたまちゃんは集合時間より1時間早く香美町に着きましたが、集合時間になるとさらに3人の方が合流。
当日、お隣のまちから参加表明をしてきてくださった方もいらっしゃって、新たな出会いが嬉しかったです。
まずは、岡見公園にあるレンタルスペース岡見へ歩いて移動し、読書会。
この岡見公園はしとしと運営の2人も度々足を運んでいる大好きな場所です。
読書会では、これまでしとしで取り上げた師匠のうち、オフ会へ参加してくださる3人の師匠の記事をプレイバックし、参加者のみなさんと師匠の共通する部分や違う部分、師匠に聞いてみたいことなどを整理する時間を過ごしました。
1時間ほど岡見で時間を過ごした後はまた歩いて移動。
そして、歩いて向かう先はオフ会のメイン会場。レンタルスペースglass。
記念すべきしとしと初めての師匠、松岡大悟さんのインタビューをした場所でもあります。場所の詳細はぜひ松岡大悟さんの記事をご覧ください。
ここで待ち受けてくださっていたのは、松岡大悟さん、小林良斉さん、松宮未来子さんのお三方。
お一人ずつ師匠に自己紹介を改めてしていただき、その後、参加者から気になることをどんどん師匠にぶつけていきました。
まずは、香美町で建築塗装業をしながら、NPO法人TUKULUの代表として香美町の移住定住の事業やレンタルスペースglassの運営などもされている松岡さん。
参加者からはまちへの危機感を活動に繋げることの難しさや、仕事の転機などについて質問が。また、松岡さんと出会った当初からアクティブに活動されているイメージを持っていたという未来子さんからも、そんな松岡さんの行動のきっかけについて質問が飛びました。
松岡さんはご自身が高専を卒業してまちに帰ってくることに決めたときのお話から、現在に至るまで様々お話をしてくださり、今ご自身のなりわいである塗装業(大悟さんはペンキ屋と呼んでいる)がどれだけ可能性のある仕事であると感じているかということを聞かせてくださいました。
続いては、松岡さんと同じ香美町で庭師をしておられる小林良斉さん。
参加者からすると庭師という仕事の全容が分からない部分もあり、まずは庭師として小林さんがどのようなお仕事をされているのかという質問が。
小林さんは庭師という仕事がお庭をつくることもあれば木のお医者さんのようなことをすることもあると、仕事の幅広さや奥深さを語ってくださいました。
ここで未来子さんからまちの街路樹の元気がない様子を見てどんなことを感じるのかという質問。それを受けて、小林さんは木も人も共通する部分があると聞かせてくださいました。
呼吸がきちんとできないと元気にならないし、成長しない。人間も息苦しいとき、しんどいときは呼吸を大きくしてみるといいよ、と。
庭師さんならではの観点がとてもおもしろく、盛り上がりました。
最後は、香美町のお隣豊岡市でコトブキ荘というシェアスペースを運営されている松宮未来子さん。
記事でも触れましたが、コトブキ荘という場所の不思議で言語化が難しい場所について直接会って未来子さんにお話を聞くからこそイメージが湧く部分も大いにあったように感じ、オフ会ならではの良さがあったように思います。
参加者からは場を運営していく上で気を付けていることなどについて質問があり、未来子さんからはみんなの意識を低く保つように気を配ること、といった実体験に基づいた未来子さん独特の表現がたくさんあり、参加者も興味深そうに聞き入っていました。
そんなこんなで予定していた3時間という時間はあっという間に過ぎ。
ここで一度、会を締めくくり、積もる話はお酒を交えた懇親会へとつづく。
懇親会ではさらにざっくばらんに様々なトークが展開。この大学生から親世代の大人までが遠慮なく気兼ねなく思い思いに話せる環境に価値や希少性を感じました。
また、参加者の地域でやりたいことを地域の大人に実際に聞いてもらい、参加者は再訪を約束するような一幕もありました。
結局会は深夜1時まで続いたとか。笑
以上、駆け足ではありますが、イベントレポートをお届けしました。
読んでいただいた方に少しでも当日の雰囲気を味わっていただけたなら幸いです。
最後に、運営としての感想を少々。
今回、実際にウェブメディアという枠を飛び出してリアルに人と人を繋げるというチャレンジをしてみましたが、僕たちが当初からやりたかったことを少し表現できた場になったと感じています。
先にも述べたように、しとしとのコンセプトは「自分らしく生きたい人で地域のらしさを繋いでいく」というもの。
このオフ会を通じて自分らしく生きたい人と、地域で自分らしく生きている人が出会うという瞬間を見た気がします。そして、自分らしく生きたい人が今後地域というフィールドで地域のらしさを繋いでいくことになるきっかけになり得る時間だったのではないかなと思っています。
参加者の一人であるたまちゃんが「人と人の間」に生まれるものに興味があると、行きの電車で聞かせてくれたのを今改めて思い出しています。今のところ、しとしととして出来ることは今回のオフ会のように人と人との出会いのきっかけを作ることくらいかもしれません。人が集まるだけでは意味がないって感じる方ももしかしたらいるのかもしれません。
でも、今回のオフ会で、人と人の出会いの中で学び合い、面白がり合って、認め合って、新しい動きの一歩に繋がる瞬間のタネを見ました。
人と人の間、まさにそれが「人間」らしさなのかもしれないなと思った1日でした。
自分らしさは人との間でより浮かび上がってくるのかもしれません。
2018年、しとしとを生んだ1年をオフ会に関わっていただいたみなさんのおかげで大変素敵な形で締めくくることが出来ました。
ありがとうございました。
そして、しとしとを読んでいただいている皆さん、1年間ありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
(山本修太郎)